カスタムと呼ばれている時計は修理やOVHの依頼だけでは
ない。同じ位多いのがムーブ交換やダイアル交換だ。
ムーブ交換の場合は5振動のcal.72から6振動のcal.726に
交換する場合が多い。確かに気持ちは分からなくもない。
でもせっかく手に入れたcal.726が5振動だったという
悲惨なパターンもある。たまに見かけるんだこういうの。
地板に726って打刻してあるのに中身は72ってやつが。
まさに狼の皮を被った羊ってやつだ(笑)
このお客さんの前回のパターンがそうだった。どこで
手に入れたか知らないけど、持ってきたcal.726は5振動。
教えてあげたら見る見るうちに顔に縦線が入った(笑)
結局それでもムーブ交換したんだけど、何ヶ月か経って
またcal.726を手に入れたらしくまた交換を依頼してきた。
今度のはちゃんと6振動だった(笑)
cal.72とcal.726の違いを簡単に見分ける方法がある。
実はこれ、とある著名なライターさんに指摘されたんだ
けど確かに言われてみればそうだった...みたいな(笑)
見分ける方法は宿題として(笑)、今回持ち込まれた
のはまとめて3本。1本はベゼル交換、そしてもう1本は
5振動のcal.726を6振動のcal.726にムーブ交換(笑)、
そして最後はその5振動のムーブをお客さんが用意した
ダイアル・針セットを装着し、これまたお客さんが用意
したケースにぶち込んで1本の時計にするという魂胆だ。
ってかウチは何屋だっての(笑)

1本目は別になんてことはない。2本目もダイアル・針が
オリジナルだったからそんなでもなかった。どうでも
いいパーツを寄せ集めて1本の時計にするという最後の
やつが手強かった。機械自体は数ヶ月前に私がOVHした
ものだから全く問題ない。前回納品時の状態をキープ
していて触るところなどどこもない。
支給されたダイアル・針セット、こいつらが粗悪品だった。
まずダイアルは足の位置がいい加減でホゾが中心に出て
こない。電話で確認を取ったらその時計はどうせ売って
しまう予定だから足を切断して両面テープで固定してくれ
ればいいとのこと。売り先に今後のメンテで私を紹介
しないでねと念を押した。どうせ回ってくるだろうけど。
針はもっとヒドかった。もちろん全ての針のハカマは調整
しなければならなかったんだけど、特に12時間積算計は
あり得ない程ヒドかった。ハカマの内側をいくらサラっても
ホゾに入る気配すらない。最終的には紙のような厚さしか
なくなった12時間積算計のハカマ。パーツを集めて時計に
するという依頼や粗悪な社外品のダイアル・針交換の依頼は
もう二度と受けるのはやめよう、そう誓った。そんなことを
言ってもどうせ受けるんだろうけど(笑)
やっと機械の方が終わってケーシングだ。支給されたケース
は2個あって、1個はプラベゼルが付いて巻き芯もリューズも
くっ付いている。もう1個はチューブとプッシャーの根元しか
付いてない。お客さんが希望したのは全部付いている方。
ケースに入れてみるとこいつがまた深い。通常のキドメ板
なんかでは留めることは出来ない。クランク型のキドメ板を
何個か選んで加工していった。お客さんに事情を説明したら
例の樹脂で留めてくれればいいですよと。ちょっとキレそうに
なった。あれば構造上どうしようもない時の最終手段であって
何でもかんでも使うべきものではない。やれるべきことはキッ
チリやる。逆に意地になってキドメ板を仕上げてやった(笑)
さっ、これであとは巻き芯を入れて...入れ...あれ?
ざわ…
ざわ…リューズ不良だこれ...リューズ不良だこれ!
プレッシャーをかけても引っ込まない。良く見ると引っ込む
部分がハンダを盛ったような感じで盛り上がっている。
削れば何とかなるかなこれ...
その部分を周りと同じ高さに削ったら穴が空きやがった...
ヒデぇ粗悪品だ...じゃあもう1個の方のリューズを...
こっちのチューブと合わない...ならもう1個の方のチューブ
をこっちのケースに...ダメだ...元のチューブに専用工具
が入らない...例え外れたとしてももう1個の方のチューブ
がこのケースに合うかどうか分からない...
殺しのライセンスが欲しくなった(笑)
仕方なくもう1個の方のケースで作業を進めた。プッシャー
のピンの溝を掘り直すということ以外は別に問題なかった。
最初っからこっちにケーシングしてベゼルだけ差し変えれば
良かったのに。ケースに刻印が入ってるとか入っていない
とかの都合で何時間無駄になったことか。
それはそうとブログ長くね?(笑)
- 2006/09/28(木) 20:10:34|
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最近やっつけてる本数が多くなってブログの
更新が追いつかない。普通にやって普通に
納品したって時計は省けばいいんだろうけど、
まずその普通ってのがここではあり得ない(笑)
9月4日のブログに書いたcal.727。もちろん
オリジナルではないが、それに近付けようと
している努力が滲み出ているcal.72だ。こいつは
巻き上げヒゲで調整不可なチラネジを持つ厄介な
ヤツだ。止まりの原因はやっぱり天真だった。
天真交換をしてムーブ単体ではまぁこの辺りで
いいだろうという感じになった。後はダイアル・
針を装着してケーシングして納品するだけ...
な筈がいつものように問題が発生した(笑)
裏蓋を締めると止まる。しつこいようだが裏蓋を
締めると止まる(笑)。これってcal.72を搭載した
カスタムでよくあることなんだけど、キドメ関係で
プレッシャーを与え過ぎってのが原因。何でそう
なるかってのは各自考えてみて下さい(笑)
今回のはキドメ板・キドメネジで留めるタイプでは
なく、ケースと機械の間にリングをかましている。

裏蓋を締めることによってプレッシャーを与え過ぎ
ているために止まりになる。ってことはプレッシャー
を軽減してあげれば良い。この場合は間にかまして
あるリングの高さを減らすことが問題の解消に繋がる
と思われる...ってかそれしかない(笑)
厚みを測って0.2mm薄くしたものを取り付けてみる。
まだ止まる。更に0.2mm薄くするもまだ止まる。
最終的には0.5mm薄くして止まりは解消された。
どうやって短時間で薄くしていったか?ここで以前
に目打ち台を砥石付電動グラインダーで削っていった
経験が役に立った。ヤスリでやってたら何日も掛かった
に違いない。あの作業を馬鹿にしていた人達は何人も
いたが、いつどこで役に立つか分からないのが実際に
試してみる実験的な作業なんだ。フライス盤を持って
いる業者に依頼すれば目打ち台なんぞ完璧な平面が
出て一瞬で終わるさそりゃ。まともな時計じゃない
のをやっつけていくには普通は無駄だと思われるような
トライアルが必要なんだってことを肌で感じた瞬間だ。
もし納品した時計が止まったらあのリング、あと0.1mm
薄くしてやろう。でも多分大丈夫だろうなあれで(笑)
- 2006/09/27(水) 00:39:34|
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お客さんにお詫びをして状況を説明した。元々
キレイなダイアルじゃないから塗料か何かを
塗ってくれればいいとのことだったけど、そういう
問題ではない。一番やってはいけないことをして
しまったケジメをつけるためにも是非とも交換
させてくれとお願いした。チョイスして頂いたのは
やはり状態のいい方。完成した画像を送ったら
かえって恐縮されてしまった(笑)

本日発送して明日には持ち主の元に届く。おそらく
喜んでもらえるはずだ。なにしろ大損ぶっこいて
差し替えたダイアルは極上だからね(笑)
今まで目に見える部分には必要以上に気を遣って
きた。でもこういう間違いは起きた。起きてしまった
ものは仕方がないにしても、差し替えるダイアルが
もし手配出来なかった時のことを考えるとゾッとする。
ありがとうMさん。今度ふぐでもご馳走しますね(笑)
- 2006/09/25(月) 18:13:22|
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傷だ...傷がある!しかも深い。どれだけ深いかと
いうと真鍮が見える位深い。しかも下の方のロゴ
の辺りだからいやでも目に付く。いつやったのか
記憶にない。足に窪みを作っている時に違いない
だろうが、これは非常にマズい...マズいなんて
もんじゃない。24時間針の塗装にダメージを与えた
時計師のことを非難していた人間があろうことか
ダイアルにダメージを与えている。何て様だ...
修正出来るかどうか試みたが平野マジックとやらは
ダイアルには通用しなかった。色を合わせてもあの
風合いが出せない。これはもう交換しかない。
Ref.1655のT夜光のダイアルは高価な上に入手困難。
大迫さんもN夜光のものしかないという。しかし彼と
私の共通する知り合いの存在がこの大ピンチを救う
ことになった。その人物はブログを始める前に
不定期日記で登場している。私の調整したcal.726が
クォーツ並の精度を保っているということを報告して
きた彼だ。実名は出せないのでMさんでいいか(笑)
困り果てて彼にメールを打った。手放していなければ
ダイアルを所有しているはずだ。しばらくして返信
があった。私を救うであろうダイアルの画像を添付
して。現在手持ちは2枚。1枚はこれ。

いい感じに焼けているものだ。そしてもう1枚はこれ。

傷などない最高の状態のものだった。言い値でいいから
譲ってくれと泣きついた(笑)。Mさんは事情を察して
くれて二つ返事で快諾してくれた。とりあえず両方とも
預からせてもらい、お客さんに選んでもらって残った方
を返却させてもうらうようにお願いした。
実際に合ってダイアルを受け取る時に驚いた。Mさんは
自分が実際に着けているRef.1655を差し出して、これに
付いているダイアルも必要なら摘出していいですよと...
神だ...この世に神は存在した!あり得ないだろ普通。
自分の時計のダイアルまで差し出すってのは。
少なくともその時の私にとってはMさんは神だった(笑)
- 2006/09/23(土) 16:25:25|
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機械の方はとっくに終わらせてある。針の塗装も終わった
からダイアル・針を装着してケーシングしておしまいと。
ダイアルを機械に装着したけど妙だ。ダイアルの足を留める
ネジを締めると6時位置の足の辺りが浮く。ダイアルの足に
あるネジのガイドとなる窪みの位置が合っていないのだ。
24時間針がダイアルに当たっていた原因は針のハカマでは
なくこれにあったのだ。ダイアルの6時側が浮いた状態の
まま固定していたから3時から9時の方向に接触痕が出来て
いたという訳だ。これは足に窪みを正しい位置に作って
やらなければ問題は解消しない。仕方なくまたダイアルを
外して作業に取り掛かった。現在の窪みの位置から1mm位
ダイアル側に窪みを作った。やってて気付いたんだけど
この足の素材は真鍮ではなくおそらく銅だ。色もそうだし
硬い。だから多分銅じゃないかなと(笑)
簡単に窪みを作れるかと思ったら結構これが大変だった。
硬い上にそんなものをやるための治具などあるはずもない。
それでもさらえきりや小型のリューターを使って何とか
窪みを作った。試しにダイアルを装着して足を留めるネジ
を締めていくと、これがドンピシャだ。もうダイアルが
浮くこともなければ24時間針が接触することもない。

さて、じゃあ針を付けてと...あれ!?
まさか...まさか...こっ、これは...!?
- 2006/09/21(木) 18:42:02|
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御徒町まで呼び出されて昼から焼肉食って飲んだ
くれた(笑)。その後ガード下の刃物屋に行った。
友人の1人が足の爪を切る刃物を欲しいらしく、
店員さんにあれこれ尋ねていた。また例によって
悪いクセが出て関係ないのに参入してみた(笑)
鋼以外の材質ではどれが?とか、ステンレスでは
どんなやつがどうです?とか。
店員さんはそりゃもう得意げになって上から目線で
講釈垂れる垂れる(笑)。たかが爪切りにもう
分かってない奴は買わなくていいぞ的な感じだよ。
まぁそれは良しとしよう。気持ちは分からなくない。
知識を持った者がそれを利用して最大の至福を感じる
事が出来る瞬間が今だとしたら。被雇用者がそんな
接客で商売が成り立ってるならそれはそれで理想的な
商売のやり方だと思う。
そこで尋ねてみた。
鍛えれれた名刀と言われる日本刀とそこに売っている
ステンレスのナイフと、あなたはいざって時にどちらを
選んで戦いますか?と。どう答えたと思う?
800年も前の武器を今更持ち出してどうするんですか?どうよ?(笑)
私ならピストルで背後から撃ちますよ。これもどうよ?(笑)
まぁいいや、質問の仕方が間違ってたかも知れない。
しばらく間をおいてまた尋ねてみた。武器は二つしかない。
一つは鍛えられた名刀と言われる日本刀。もう一つは
チタンだかステンレスだかなんだか知らないけどアンタが
言うような現代の素材の同じ寸法の刀。どっちを選ぶ?
そもそも私なら日本刀でなんか戦いませんよ。
この時代に日本刀で戦うって事自体ナンセンスでしょ?日本刀で人を斬りつけたい気分を味わえたぜ(笑)
- 2006/09/08(金) 19:20:44|
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またちょっと厄介な時計が届いた。
前に他の時計屋でOVHした際に針の塗装を剥がされて
しまったそうだ。その時計屋もよくそのまま納品した
もんだなと感心させられる(笑)

もちろんこれは針の再塗装をしなければならないん
だけど、機械とは違い目に付く場所なんで失敗は
許されない。夜光の色合わせと同様にこれが結構
大変なんだけど、この蛍光オレンジってのがまた(笑)
剥げた部分に色を合わせた塗料を塗ってもおそらく
目立つだろうと思う。ちょっとした剥げだったら
まず問題ないと思うけど今回のこれは結構広範囲だ。
人間って不思議なもので、この状態を知っていると
そこを意識して見るようになる。探したくないのに
「塗りました感」を探してしまうのだ。本来なら
塗装を全部剥離して再塗装するのが一番いいと思う
けど、夜光の部分に影響なく剥離するのは間違いなく
不可能だろう。失敗して弁償するにもT夜光の24時間針
なんてまず入手不可能だし...
さて、見せてあげようか平野マジックを(笑)
- 2006/09/07(木) 18:59:10|
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